鞍掛窯の
大切なこだわり

薪窯焼成への想い

私は作品に一切釉薬を用いずに焼成します。

燃料となる薪の灰が、炎に運ばれて作品の上に雪のように積もっていきます。それが1000℃以上の高温になると、徐々に解け出し、ガラス化します。これを自然釉と言います。灰(自然釉)がかかった部分が強く発色します。自然釉と炎は、作品に表情を与えます。わたしたちの期待を大きく超えて良い作品が生まれてくることもしばしばあります。
作品の表情を出すために、自然釉は欠かせません。一方でガラス化した灰は、蓋と胴体をくっつけてしまいます。窯出しした後に、蓋が外れないこともよくあります。また、強い炎の勢いによって、作品はたびたび倒れてしまいます。薪窯焼成は、大きな魅力と、多くのリスクの両方を持ち合わせた焼き方と言えるでしょう。燃料となる薪も、1年以上かけて乾燥させなければなりません。

薪の準備も、焼成の難しさもありますが、それ以上の「焼き物としての面白さを生み出す」薪窯焼成にこだわって制作しています。

写真:急須のフォルムがわかる写真 写真:急須のフォルムがわかる写真 写真:急須のフォルムがわかる写真 写真:急須のフォルムがわかる写真

鞍掛窯のこだわり(一)

磨き上げられたフォルム

自然界に現れる形はとても力強くユニーク。 例えば内側から生命力を感じられる力強い球体。よく観察し、ヒントを得るようにしています。胴体から伸びる注ぎ口と持ち手は、美しい曲線を生み出します。

写真:急須のフォルムがわかる写真
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鞍掛窯のこだわり(二)

手作りの薪窯で焼き上げ

レンガを一つずつ積み上げ、薪窯を作りました。 薪を燃やして出た灰は、流れる炎に運ばれて雪のように作品に積もっていき、高温になると一 気に溶け出します。炎と自然釉が生み出す景色は、急須作品に一つ一 つ違った深みを表情を持たせます。

写真:急須のフォルムがわかる写真
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鞍掛窯のこだわり(三)

北海道の素材

常滑で急須づくりの技術を学び、制作しています。常滑の粘土をベースに、地元・函館の素材を用いることによって、函館の息吹を吹き込みます。単なる技術の継承にとどまらず、急須づくりによって、日本のお茶文化を守る一端を担いたいと願っております。

写真:急須のフォルムがわかる写真

作家:白岩大佑

大学で師匠の愛知県常滑市無形文化財保持者小西洋平氏との作品と出会う。それ以来、急須一筋の道を歩む。急須の薄さを指先に覚えさせているため、急須と茶器以外のものは制作しない。実用にたえる急須でもありつつ、それぞれ個性ある"作品としての急須"を心がけている。

略歴

  • 日本工芸会 正会員
  • 日本煎茶工芸協会 正会員
  • 急須展(個展)多数
1985年
北海道松前町生まれ
2009年
北海道教育大学函館校芸術文化課程美術コース卒
2010年
愛知県常滑市無形文化財保持者小西洋平先生に師事
2011年
第25回 日本煎茶工芸展 入選
第58回 日本伝統工芸展 入選
2013年
函館山の麓に『鞍掛窯』(薪窯)を築窯
2016年
「国家商品博覧会」出品・参加(中国雲南省昆明)
2017年
「第6回/中国・四川国際茶業博覧会」出品・参加(中国四川省成都)
2019年
日本煎茶工芸協会/正会員認定
2020年
日本工芸会/正会員認定
2021年
第35回 日本煎茶工芸展 入選
白岩大佑/急須展(東京・Galerie)
白岩大佑/急須展(札幌・三越)